
2010「祝い人」F130 混成技法
第84国展
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「祝い人(ほいと)」とは「乞食」の方言、というよりも、今に残る古語の一つ。「ほかいひと」「ほぎひと→ほぎと→ほいと」。
ホームレスとか乞食を題材に団体展に発表する絵描きも少ないだろう。「祝い人」と書けば多くの人は(いわいびと)と読む。それはそれで一つの解釈ではある。しかし(いわい人)って何だ?と調べればその意味は深い。我々の子供の頃、正月になると紋付き袴を着て玄関先で「やれめでたい、それめでたい」などと言いながら僅かなおひねりをもらって回っている人がいた。字のごとく「祝い人」だな。不思議な人たちがいるものだと後をついて回った。「ハサミ包丁研ぎモノいっさいこうもり傘の直し」と町内を幟を立てて回ってくる人もいた。一か月ごとに回ってくる流しの散髪屋さんもいた。大きな皮のカバンにバリカンや櫛その他一切合切もって歩いていた。そればかりではないけれど。要するにどこかに就職することなく、何か生産することもなく定住しない流れ者(ノマド)という事になる。
ゴッホにしろピカソにしろセザンヌや藤田にしても、よく見れば全て自画像だといえないか。静物や風景であったとしてもそこから滲み出てくるものは我と我が身そのものではないか。また、そうでなければ本物ではあり得ない。自分を作っているオリジンが何なのかをとうことが我々の最も大切な仕事だと思うな。