
私が大きなデパートなどで恥ずかしげもなく個展が出来たりするのは、私の作品を見つけて企画してくれたHさんとの邂逅がなければありえなかった。それもたまたま私が神戸の小さなギャラリーで個展をしていたのを彼が見たことから始まった。個展そのものが大きな結果を生まなくても決して無駄ではなく、本物でありさえすればきっと誰か見つけてくれると信じている。そういった意味で誰それの紹介とか知り合いだからというのはいい結果を生まない。そもそも誰かの褌で相撲をとろうという根性からして違うのではないかと思う。絵を描いて生きて行くというのは、いい学校出たとか画歴が凄いとか有名な政治家にコネがあるとか絵が上手いとかに関係なく、生き方の問題で最終的に覚悟が問われる。
今回の話の本題はそこではない。作品を値段を付けて売るということ後ろめたさみたいなことか。絵描きを生業にする限り絵を売らなければ生きては行けない。そういった点ではデパートという場は不特定多数のお客さんを相手にする絶好の場であることは確かなことだ。しかし、だからといって私の作品が芸術作品として評価された訳ではないという事だな。どんなに売れっ子になってたとえ「完売作家」になったとしても、それが即作品としての絶対的な評価にはならない。この歳になっても、評価などどうでもいいとなかなか割り切れない自分がいる。