
2023「老いる」F8部分
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この絵は一度サインを入れて仕上がった状態で長らくアトリエの片隅に飾ってあった。たぶん一度くらいどこかの個展で展示したかもしれん。長く見ていると気に入らないところが出てくる。全面的にやり直すことも多いけれど、この人物のフォルムは捨てがたい。ということで部分的な修正にした。
私の絵はどうやっても人物が中心になってくるのだけれど、そのままを写生したような人物はすくない。厳密な意味ではデッサンも形も歪でくるっている。求めているかたちというのは人物のオリジン(源泉)な形であって、個々人の固有のかたちではない。そうは言っても私なりの「いいかたち」「かわいいかたち」というのがあるのだろうな。そのカタチがいいか悪いかを決めるのは自分ではない第三者なんだな。もっと言えば時間が決めるといってもいいか。自己満足だけでは他人には伝わらない。
美人画がばかりがもてはやされるけれど、綺麗でも美しくもない「老い」た自分がモチーフになっている。絵にするやり方は色々あるけれど、結局は自分を掘り進めるしか方法はない。流行ばかりを追っかけると盛りを過ぎると捨てられる。自分のオリジンを探すことだ。尽きることないアイディアが隠れている。