
京都の民宿は二部屋あって一部屋は私たちが一か月借り切って住んでいたのだが、隣はほぼ三日ぐらいのサイクルで外国からの旅行者が入れ替わっていた。最後の一週に一緒になった老夫婦はドイツからの旅行者で日本の大学で教えていたこともあるというキャリアのある品のいいご夫婦だった。日本語はほとんど理解できない様子だったけれどね。私が個展をやっていることを伝えると、暇を見つけてきてくれた。丁寧に一つ一つ観てくれたのだけれど、私のタイトルがほとんど俳句か短い詩のようなものなので、翻訳するのがとても難しい。出来もしないブロークンな英語で意味を伝えようとするのだが、ますます迷路に入り込んでしまって情けない思いをした。例えば「吾も恋」などどう訳す。