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あそびべのHARU・ここだけの日々
画家・榎並和春

バジルf0 - 2022.12.12(作品)

はる 7891
 山梨新報 12月コラム
 FBで発表したエッセイを少し修正して書き加えました。
シュワキマセリ
クリスマスシーズンが今年もやってきた。このコラムが掲載される頃はちょうど銀座で個展を開催しているころで、何かと忙しい日々を送っているだろう。
 私が銀座で個展を初めて開催したのは30年も前のことだ。絵描きというのは不思議な職業で、一枚の絵も売れたことがなくても「私は絵描きです」と名乗った時点で絵描きになれる。資格も免許もない、そんな職業は他にあるだろうか?たとえそうであっても絵描きであるという何かしらの裏付けが欲しかったのかもしれないな。(銀座で個展をした)というのが何となくその証明になるような気がしていた。実際はそんなものは何もないのだけれどね。
 古希を迎えた爺さんになっても、クリスマスというのはなぜかワクワクする。誰が考えたのか、宗教上の違いを超えて、老いも若きも性別も人種も超えた普遍的な価値を持っているような気がするな。ちょっと大げさか。もみの木の緑に赤い木の実や金や銀の飾り物というのは良くできたグッズだ。
 我々の子供の頃は今から考えられないくらい日本全体が貧しかった。そりゃそうだ。戦後10年もたっていなかったのだから、当然といえば当然だろう。今のように洋菓子屋が街のどこにでもあるような時代ではなかった。唯一ケーキが食べられるのはクリスマスイブの夜と決まっていた。それがどれだけ楽しみだったのかわかってもらえるだろうか。
 小学校に上がる前に近所に子供たちを集めて日曜学校を開催している家があった。今から考えると明らかにキリスト教の布教活動の一環であったのだろうけれど、お小遣いも十分にもらえなかった時代に、行けば必ずお菓子をくれて、歌を唄ったり、ゲームをしてくれる家はありがたかった。母親は苦々しく思っていたようだけれどね。年に一度クリスマスの晩に下町の教会まで出かけて行く。キリスト教など全く知らなかった子供にとって教会のミサは恐ろしいような衝撃だった。今のようにテレビなど無かった時代だからな。真っ暗な部屋に入って何やら美しい音楽が流れてくる、それだけで震えるような感動をした覚えがある。「シュワキマセリ」「モロビトコゾリテ」というのは単におまじないの呪文ではなく「主は来ませり」「諸人こぞりて」だとしったのは随分たってからの事だ。
 楽しいクリスマスを、そしていい年をお迎えください。


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