
はる 7816
何日か前の地塗りの段階から少し進んだ。下塗りはとても大切で、例えるならこういうことだ。人間の皮膚の下には赤い血が流れている。肉や骨や神経など複雑にからみあって一見厳かな一人の人間ができている。普段は見ることもないし、見せることもない。けれどしっかりした下地がなければ表現は薄っぺらな物になってしまう。そこから物語が生まれる。
いつも下書きなしのぶっつけ本番。地塗りから見えてくるイメージから絵を作る。誰かが書いていたけれど、音楽に例えるなら私は演奏家ではなく作曲家かな。このまま最後まで行けるかどうか分からない。どこかでつまらなくなって壊してしまうかもしれない。最終的な行き先はまるで見えていない。淡々と詰めて行けば仕上がる訳ではない。そんな細いタイトロープの上を歩んでいる。
私のやり方は「全部が一つ」というやり方なので、この大きさが限界だ。仕上げる事が大事ではなく過程そのものが作品かな。この「全部が一つ」という意味は説明が必要だな。いつかまた。