
はる 7711
2021「カナリア」F20 ⓔ混成技法
再掲
阪急うめだ個展で展示予定
榎並和春絵画展
旅寝の夜話
2022 6/29〜7/5
阪急うめだ本店 7F美術画廊
・・・・・・・
「マチネの終わりに」 平野啓一郎
ブックオフの100円本のコーナーはもうほとんど読むべき本が並んでいない。たまたま平野啓一郎のこの本を見つけた。「マチネ」というのは午後の早いコンサートの事で夜の本番に比べて若干安いコンサートらしい。人生の後半の始まりとかけている。いいタイトルだな。平野は最近さかんに政治的な発言をツィッタ―などでしていて、この国ではほとんど沈黙している文化人の中では注目していた。どう書けばいいのかな、物語が重層的に進んでゆく。読みはじめたら朝になっていた。今日は寝不足だ。
主人公は高校生の時にすでに世界的なギターコンクールで受賞するなど音楽家として将来を嘱望されていた男。順風満帆にみえた演奏家としての道も20年近く経って、何となく転換期をむかえていた。クラシック音楽の中でもマイナーなギター演奏家という位置でコンサートを中心にこのままやって行くには少し無理がある。ポピュラー音楽を混ぜることで底辺を広げてゆくのがいいのか、時代的にはCDからネット配信に移り変わろうとしていた時期でもある。不惑というけれど40歳という歳は男であれ女であれ、人生の中間点でもあるけれど色々と惑う時でもある。
ヒロインがまた非常に魅力的な女性なんだけれど、反体制的なユーゴスラビア人映画監督の父親との関係、イラク戦争、それによるテロや後遺症PTSD、難民など当時の世界的な世情が彼女の周りを賑やかす。もっともそこだけ聞けば取ってつけたようだけれど、物語はその部分を知らないと深くは理解できない。詳しくは実際の本にあたってもらおう。
バッハのチェロの無伴奏組曲が通奏で流れている。
Petrit Çeku plays Bach - Cello Suite - No.3
https://www.youtube.com/watch?v=enFPJcHv-s8