
はる 7708
2022「自転車に乗って」F10 混成技法
阪急うめだ個展で展示予定
榎並和春絵画展
旅寝の夜話
2022 6/29〜7/5
阪急うめだ本店 7F美術画廊
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これは今回のリーフレットと対になっている。二枚一組のような作品はあまり描いたことがない。誰かに頼まれた訳でもない。
子供時代というのははたから見るほど幸せな日々ではない。物心ついてからの経験がほとんどすべての世界なので不思議なことが多すぎる。多くのことが不安と恐怖と期待に満ちている。まず親や兄弟を選ぶことができない。他の家のしきたりや習慣がとんでもなく奇異なものに映る。後から考える我が家の習慣の方が世間から見てオカシかったのだが。
自分の専用の自転車が欲しかった。家には自転車があるにはあったけれど、大人用のもので黒くて丈夫な荷台のついた武骨な物だった。当時日本は高度成長期に向かう頃で小学校の頃は生徒が多くて普通の校舎だけでは足らずに学校の敷地内にプレハブの教室を何棟も立ててしのいでいた。子供数も多かったけれど、色々な物が先を争って市場に出てきた。サイクリング用のドロップハンドルで全体がアルミで出来たような見たこともないような自転車もその一つだ。
兄弟の多かった私の家ではすべてが御下がりで済まされてきた。まして自分だけの専用の自転車など望みようがない。それでもやっぱり自転車が欲しかったな。しかし、世の中はよくできたもので、手に入れることが出来なかった夢が回りまわって古希すぎて絵のモチーフになる。これもまた私の人生でしょう。