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あそびべのHARU・ここだけの日々
画家・榎並和春

1995イタリアスケッチ - 2022.05.25(作品)

はる 7690
 山梨新報 5月エッセイ
「遊牧民」
あまりテレビ番組を観ることがない。昔はあれほどテレビっ子だったのが嘘のようだ。面白い番組がないという事もあるけれど、いつの間にか日常生活のなかでテレビをじっくりながめるという習慣がなくなった。ところが、つい先日久しぶりに炬燵にはいって肘枕でだらだらとテレビを観る機会があった。本当に一昨年の正月以来だな。しかし、正確にいえば今のテレビはネットにつなぐことが出来るので、もっぱらそれでユーチューブを観たのだ。結局パソコンと同じことをしているのでテレビを観たことにはならないのだけれどね。テレビは生放送で観るという時代ではなくなったということだ。
 たまたま流れてきたのが世界中の遊牧民の生活を追っているような番組で、けっこう興味深く続けて探してみていた。彼らの生活もそれなりに時代のなみを受けて、近代化の影響は避けられない。資本主義経済や物質文明、要するに持たないより持った方がいいとした価値観だな。気づいてしまうとそれを否定して生きることはなかなか難しい。
 本来の彼らの生活は最低限の生活道具と、食料である羊とその皮で作られたテントを季節に応じて移動しながら、時々物々交換で必要なものを手に入れる生活だ。真冬には氷点下30度にもなるような過酷な土地で、あえてそんな生活を続けている。金銭的な価値観で言えば下の下ということになる。
 彼らは何故そんな不自由な生き方をしているのか?ノマドのところで少し書いたけれど、ひとの幸せというのは金銭的なことも含めて沢山のモノに囲まれて、なに不自由なく暮らすことでではない気がするんだな。現代のこの日本でこんなことを言っても説得力はほとんどないのだけれど。グローバル化によってより世界が便利か不便か、損か得か、二者択一的な価値観でうごいているけれど、そんな中であえて何も持たない自由というのか、損得勘定では動かない、こだわらない生き方というのもあってもいいわけで、実は一番理にかなっているように思った。
 円が安くなって日本が売りに出され始めている。ほんの少し前までジャパンアズナンバーワンなどとおだてられていたのが嘘のようだ。国が衰退するということは悲しいことだ。成金が礼節もわきまえず札束で頬をはるような爆買いをあちこちで見られるようになった。今までの価値観でいえば不自由である、ものを持たないというのは、とりもなおさず悪い事であった。しかし、一概的にそうとも言えない気がしている。周回遅れのトップランナーという言葉が好きなんだけれど、今だから分かることがある。便利か不便か、損か得か、二者択一的な価値観で生きる、追いかけられるような生き方、もうそこには戻れないという意外な感想だ。何も持たない遊牧民の生活を見て、本物の生き方を垣間見たきがした。


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