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あそびべのHARU・ここだけの日々
画家・榎並和春

 「きみしにたまふことなかれ」 - 2022.03.31(写真)

はる 7635
 「きみしにたまふことなかれ」
与謝野晶子の長詩。明治37年(1904)発表。日露戦争のとき、新妻を残して出征した弟への愛をこめて作った反戦詩。
120年も前にこれだけの反戦歌をうたった人がいる。戦争とは人を殺すのだ。その自覚があるのか。敵は鬼でも畜生でもない親がいて子供がいて伴侶がいる普通の人間なのだ。なぜ殺しあわねばならないのか。「敵がせめてくる」というのがいつもの手段だ。パールハーバーも9・11も鬼畜米英も皆同じ。そうやって見えない敵に恐れおののき、なりふり構わず戦地へと押しやられてしまう。よく見てみよう。考えてみよう。政治家に任せていては殺されるよ。
              自分勝手訳ゆえ御免
ああおとうとよ 君を泣く  
君死にたもうことなかれ   
末に生まれし君なれば    
親のなさけはまさりしも   
親は刃(やいば)をにぎらせて  親は刃物を握らせて
人を殺せとおしえしや    人を殺せと教えたか
人を殺して死ねよとて    人を殺して死ぬように
二十四までをそだてしや   二十四まで育てたか!
堺(さかい)の街のあきびとの  
旧家をほこるあるじにて   
親の名を継ぐ君なれば    
君死にたもうことなかれ   
旅順(りょじゅん)の城     旅順のお城が
はほろぶとも         陥落しても
ほろびずとても 何事ぞ    しなくても関係ない
君は知らじな あきびとの   君は知らないだろうな 商人の
家のおきてに無かりけり    家訓には人を殺せはないのです
君死にたもうことなかれ    
すめらみことは 戦いに    天皇さんは戦争に
おおみずからは出でまさね   自ら出陣することはなく
かたみに人の血を流し     お互いに戦って血を流し
獣(けもの)の道に死ねよとは  獣のように死ねなどと
死ぬるを人のほまれとは    死ぬことが名誉だと
大みこころの深ければ     本当に思いやりが深いひとなら
もとよりいかで思(おぼ)されん  お思いにならないでしょう。
ああおとうとよ 戦いに    
君死にたもうことなかれ     
すぎにし秋を父ぎみに      
おくれたまえる母ぎみは     
なげきの中に いたましく    
わが子を召され 家を守(も)り  
安しと聞ける大御代(おおみよ)も 
母のしら髪(が)はまさりぬる   
暖簾(のれん)のかげに伏して泣く  
あえかにわかき新妻(にいづま)を  
君わするるや 思えるや    
十月(とつき)も添(そ)わで    
わかれたる           
少女(おとめ)ごころを思いみよ  
この世ひとりの君ならで    
ああまた誰をたのむべき    
君死にたもうことなかれ


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