
2022「ローマの松」 F3 ⓔ混成技法
未発表
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そうだな、こんな絵も好きだな。何だかよくわからない下手くそな絵だけど、それなりに面白い。具象絵画だけど、やっていることは全く抽象とかわらない。偶然に出てきた形からイメージしただけだな。
最初にローマの松など描くつもりなど全くなかった。コラージュしたプリント布にたまたま真ん中に一本の木のようなフォルムがあった。それも意識して貼りこんだわけではない。何とかそれを生かせないか色々やっているうちに、ちょっと前の「美術館の午後」という絵のイメージとダブった。まぁあんな風に建物と大きな樹のシルエットで絵にならないかと試行錯誤している。
ほとんど墨のような絵の具をどっと垂らしたら、ローマの松が現れた。このローマの松のイメージはどこかで読んだことがあると思って、今回検索してみた。なんと漱石の「坊ちゃん」の中でこんな一文があった。
「以下「坊ちゃん」より引用】
赤シャツ:あの(島の)松を見給え、幹が真っ直ぐで、
上が傘のように開いてターナーの絵にありそうだね。
野だ:全くターナーですね。あの曲がり具合ったらありませんね。ターナーそっくりですよ。
(中略)どうです教頭、これからあの島をターナー島と名付けようじゃありませんか。
赤シャツ:そいつは面白い。我々はこれからそう言おう。
私は文学青年ではなかったので、これを直接読んだ覚えはない。教科書だったかもしれん。どこかで聞きかじったのだな。それが心のどこかに残っていてたまたま今回出てきたというわけだ。昔ローマを初めて観光した時に実際にこの「ローマの松」を見て、あぁこれだったのかと感動したことを思い出いだした。