
はる 7522
2021「アダムとイヴ」F6部分 ⓔ混成技法
本人蔵
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クリスマスが近づくと聖書にちなんだ画像を選びたくなる。これなどは何度も手を加えて再びでてきたものだ。そういった意味では手元にあるものはいつまでたっても未完成ということになる。
88年に初めて銀座で個展をした時も12月のクリスマスシーズンで銀座界隈はバブル景気で浮かれていた。黒塗りの大きな車があちらこちらに我が物顔で違法駐車していた。今でもそうだが、その頃は輪をかけてお金がなかったので、個展の道具類の一切合切をワゴン車に積んでウイクリーホテルに泊まって、そこから画廊に通っていた。
はたから見れば貧乏な絵描きの日々に見えたかもしれないが、本人たちにとっては年に一度の祝祭日であった。絵など全く売れなかったが、それでも楽しかったな。
その頃盛んに銀座界隈で個展をして発表していた若い作家は後の安井賞展の常連作家も多く、今では画壇の中堅になっている作家もたくさんいる。今から考えるあの頃が画壇絵画のピークだったのかもしれないな。そういった意味ではいい経験をした。自分が年を食ったからかもしれないが、今はそれほどの熱気は感じられない。
チャンスというのか時代の空気というのか、その時でないと感じられないものというのがあるように思うな。今はそれが何なのか私にはわからない。それを感じることができるものだけが、この時代を代表する表現者になるのだろう。