
はる 7472
2021「ノマドの夫婦」F6 部分 混成技法
本人蔵
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山梨新報11月原稿
ブリコラージュ的生活(自作自足)のすすめ
ブリコラージュとは耳慣れない言葉だ。元々は(ありあわせの道具材料を用いて自分の手でものを作る)という意味の美術用語です。今なぜブリコラージュ的生活なのかということを少し考えてみたい。
元々は美術用語ということで、一番手っ取り早いのは自分の表現のスタイルから話をすすめるのが分かりやすい気がする。私の絵画表現スタイルは水彩画とか油彩画とか日本画というジャンルに入るものではない。普通絵を描こうとすると画材店に走って油彩画ならキャンバスと油絵の具を用意するところから始める。私の方法はそんな方法をとらない。適当なパネルに綿のシーツを貼り付けるところから始まる。麻布を貼りこんだりダンボールを貼りこんだりして下地を作る。そしてもちろん既成の絵の具も使用するけれど、日本画の顔料から塗料や壁土や砥の粉、墨など使えるものは何でも画材として使用する混成技法という表現方法とる。
ここ何十年も世界は一つのスタイルで進んできたように思う。それは経済を優先させるという考え方だな。古いものを修理して何年も使いまわして行くよりも、それに似た物を安価に多量に作って消費して行く、そうやって何もかもゴミにして捨てて経済を回して行く。グローバル化というのは同一規格で多量に物を造るには適した考え方だ。その結果、山の樹は切られ、海はプラスチックのゴミで埋まり、空気は汚染されて温暖化は加速化された。
人生って何だろうと考える。いい人生とは、いい学校を出て、いい会社に就職して、いい家庭を持って、いい家に住んで、いい老後を迎える事なのか。まぁそれも一つの安楽な人生設計かもしれません。が、もうすでに決まった既成のコースをただ言われたまま素通りすることに何の意味があるのかと私は思います。
人生の醍醐味は自分で考えて工夫して生きて行くことにあると思う。寄り道、道草、迷い道、色んな場面で悩んで考えて選んで失敗して、挫折してそれでも自分で考えて生きて行くことが面白いのです。格好悪くて、不ぞろいで、有りあわせで、それでも自分なりに考えて、自作自演の人生が楽しければいいじゃないのというのがブリコラージュ的生き方だと思うのです。
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今年も11月20日から28日まで甲府のハーパーズ・ミルで個展を開催します。今回のテーマは「ブリコラージュ的生活のすすめ」としました。