
はる 7458
1997「こたえてください」S100 混成技法
山梨英和大学蔵
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分水嶺というものがある。文字通りある地点からこちら側は北に水が流れ、あちら側は南の海に流れる。私の分水嶺はこの時だ。95年イタリアを中心に一年かけて旅してきた結果アトリエから油彩を追放した。画材としては布や紙、土など身近にあるものを水を媒体として画面に持ち込んだ。もう元にはもどれない。
ここまで長々と昔話に付き合ってもらいました。結局はここの話をしたくての前振りのような気がします。そう、油彩画を描いていた時のどこか借り物のような、自分の言葉でしゃべっていないような、格好をつけているだけのような、違和感がぬぐいけれなかった。稚拙でもいい、もっと自由にダイレクトに自分の言葉でしゃべりたかった。もっと身を切るような切実な話をしたかった。そうでなければ一生をかけてやる意味がない。命を賭けるとはそういう事ではないか。
「こたえてください」というタイトルはその姿勢を表している。