


はる 7442
F130号の途中経過。最初に出てきた形はもっとでかい顔でほぼ顔が画面の半分くらいを占めていた。下絵もそんな感じで進めていたのだが、なかなかそれ以上描き進むことができなくなってしまった。やっぱり今の私にはこういったスタイルには無理があるのかもしれん。墨にボンドを入れたのはあの伝説の書家・井上有一を真似したわけではない。墨汁のままだとどうしても画面を立てると流れてしまうので、出来るだけ粘性を高めるためだ。
下地を作っている段階では全くの抽象の仕事で、具体的な形は意識していない。何が出てくるかはその時の出来次第。半分以上は下地を作ることに費やす。絵というよりオブジェに近いかな。そうやってある程度存在感のある厚みが出てこないと満足しないようだ。こういう触覚的な肌合いの好みというのは何処からきているのだろうか。昔京都で京焼の絵付けの仕事をしていたのだけれど、陶器の絵肌というのはややこれに近い。触っていると安心する。ネットや印刷物では絶対に伝えることができないとても大事な要素だと思っている。
デッサンというけれど通常のデッサンではない。画面の中にある形を見つけるのだな。ただそこのところが難しいのだけれど、自分の心の中との対話みたいなもので、やっているうちに自分が何を描こうとしているのか問いかけるわけだ。毎回新しい発見がある。ボンド墨とホワイトとライトレッドと金泥でデッサンする。どんどん画面が真っ黒になって行く。ここのところが一番楽しい。