
はる 7353
2021「収穫祭」S100 ⓔ混成技法
第95回国展 名古屋
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こういった(閉じられた)空間を描く場合、なかなかこれ以上大きな絵を描くのは難しい。ここだけの限られた世界であって、完全に完結している。額のような周りの枠は、これ以上外の世界ににじみ出て混乱させないように囲われた結界でもある。だれかが例えていっていたけれど、編み物派というのか部分と全体が同じように出来ている作品は、次から次といくらでも作品を継ぎ足してゆくことができる。それはそれで大作を描く方法論ではあると思う。私のような作品を大きくした場合、ただ間延びしたつまらない作品になる。方法としては一つ一つ完結した作品を組むような祭壇画のようなやり方しかないだろうな。
「常に全体を描く」というのが理解しにくい。ダメもとで説明してみる。普通大きな作品というのは一日や二日で仕上げるものではなくて、ある程度計画をたてて今日はここまで、明日はここまでというふうに段々に仕上げてゆく。「常に全体を描く」というのはそういった計画的な描き方ではなく、部分を描いていても常に全体の中の部分として描くということで、無計画にジャズのアドリブのようにどんどん変化してゆく。意識が止まってしまうと絵は死んでしまう。抽象画とか書の考え方に近いかもしれない。仕上げる事を目指していないわけで、見かけ上いつも途中のように見える。当たり前のことだけれど、大きな作品の場合これが難しい。常に全体を把握できる距離も必要で、意識的には20号くらいまでが、私にとって描きやすい大きさかな。