
はる 7315
2021「収穫」F10 混成技法
絵を購入するきっかけは色々あるだろうけれど、多くの場合結婚して新しく人生を始めたとか、子供が生まれた記念にとか、家を新築したのでとかが多い。共通するのはこれからの人生を始める記念的なモニュメントとして絵を購入するということが多いな。
若い人はお金がないということもあるけれど、同じ金額の絵を購入するなら何かしら今の生活に役に立つものをと考えるのは分からないわけではない。たぶん私なんかもそちらの方だっただろう。
絵は家のインテリアの一部という考え方もある。それはそれで需要があるのだから、それを供給するお店があってもいいわけで、お洒落なカーペットやソファーを購入するのと同じように日常生活の中で消費されてゆくものだ。
「収穫」を購入したお客さんは老夫婦だ。旦那さんはたぶん仕事をリタイヤして何年かたっている、奥さんは専業主婦で子育ても終わって仲の良い老後をどう生きて行けばいいのか模索している感じがした。
ご夫婦が言うには「この絵は私たちだ。人生の終活期を迎えてこれから夫婦でどうやって生きて行こうか考えていた。そういった一つの道標として道しるべとしてこの絵を買うことにした。」
若い人は記念碑的なオブジェとして、インテリアとして絵を購入する。それもまたありがたいことだけれど、こうやって人生の終盤になって、何かしら心の拠り所として絵を購入するきっかけになるのはもっと嬉しいな。作家冥利につきる。
余談として、最近見た映画の話になってちょうど一週間前ぐらい前に見た「ノマドランド」と「るろうに剣心」の話で盛り上がった。