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あそびべのHARU・ここだけの日々
画家・榎並和春

今日のアトリエ - 2021.05.06(ポケットの窓から)


はる 7310
 ノマドランド 続き
もう一つは監督が中国北京出身の女性であるということだろうか。政治的な思惑はさておいて、自由という事を少し考えてみたい。

 今かの国は猛烈に経済的に成長している。他の自由諸国をはるかに凌駕する勢いだ。そんな中から彼女のようなある意味反体制的な文化人が出てくるが興味深い。先の話とつながることなのだが、経済活動というのは一部の特権階級(資本家)と多くの名のない労働者によって成り立っている。そのステムが完璧であればあるほど企業や国が富むという事になる。一時の日本のようにね。

 しかし、そのシステムが完璧になればなるほど経済的には豊かに飢えることなく生活できるようにはなって行くのだが、一人一人の人生が消えてしまうのだな。豊かにはなっても生かされているという圧迫感がぬぐいきれない。飢えることはなくなったけれど、生きているという実感が感じられなくなってくる。自分で選択した人生を生きたいと思うようになる。それが自由という事だ。

 かの国はそういった思想を徹底的に排除して今の完璧な体制を築いた。凄く皮肉なことなんだけれど、邪念を廃して完璧に高度なシステムを作り上げた時点で、人はそんなことを望んでいなかったことに気づくだろう。人間とは天邪鬼なものだな。中国の古代の老荘思想には無為自然という本質的な自由という思想があるが、実は我々が最終的に望んでいた生き方というのは、豊かな物に囲まれて何不自由なくいきることではなく、何物にも縛られないあるがままでいることだったのだな。実際のところ解放される前の貧しい農民の生き方の中にこそ人の幸せがあるように思うのは私だけではないだろう。


 

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