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あそびべのHARU・ここだけの日々
画家・榎並和春

今日のアトリエ - 2021.01.06(ポケットの窓から)


はる 7190
 色々なコンクールに出品したけれど、どれ一つとしてはかばかしい結果が得られなかった。その中で出身地・神戸で開催された1993年「印象・神戸展」という当時一番大きな額の懸賞展が開催されることになった。うたい文句は色々あったけれどみんな忘れてしまった。まぁコンクール自体はその程度のもので、イチかバチかの博打の要素が多分にあるような気がする。結果的に大賞を取ったからといって一時は注目されるけれど、それで世の中で認められるなどという事はないのだな。真に実力がなければ、すぐに消えてしまう。そのことが分かったのはもっと後のことだけれどね。

 ところが世の中の巡り合わせというのは実に不思議なものだ。1995年に神戸・淡路大震災が起きて二回目以降の「印象・神戸展」そのものが無くなってしまった。だから後にも先にも大賞受賞者は私しかいない。そしてなんと主催の神戸市役所は三階部分が潰れ解体、展覧会を開催した県立博物館は水浸しになり、オープニングパーティーをしたオリエンタルホテルも瓦解してしまった。そして買い上げになった私の作品「海と私と六角堂」F100も所在不明になってしまった。(事後同級生が探してくれて、どこか市の倉庫にあると教えてくれた。)

 「禍福はあざなえる縄のごとし」というわけで、その賞金のおかげで1995年イタリアに一年間研修に出かけることができた。神戸は私を育て、そして世の中に押し出してくれる手助けをしてくれたことになる。帰国後97年に「こころのかたち」と題して初めて神戸で個展を開催した。これは私の神戸への鎮魂の想いを捧げたものだ。

 その後一切のコンクール展への出品もやめた。それは2000年に大きな病気をして人生最初の入院手術を経験して、何故絵を描いているのかという原点を見つめたからだ。地方巡回個展のかたちを次第に取って行くのだが、それも最初からそうしようと決めていたわけではない。やっているうちに段々とこのスタイルが私に似合っていると気が付いただけだ。もう若手のバリバリでもないし、ゆっくりじっくり自分の世界を築いてゆけばいいと観念したからだ。
 

 

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