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あそびべのHARU・ここだけの日々
画家・榎並和春

今日のアトリエ - 2020.10.30(ポケットの窓から)


はる 7123
  学校を卒業した時に、普通に就職して働くという気はなかった。ほとんどの同級生が髪を切ってスーツに身を包んで会社まわりしていたけれど、一つの会社の就職試験も受けていない。営業職もサービス業も生産業も事務屋も役人にも何の魅力も感じなかった。やりたい仕事がないという事は自分は必要な人間ではないと言われたような気がしたな。就職しないという選択には勇気がいる。孤島で自給自足の生活をするか、誰かのひもにでもなって食べさせてもらうしかない。若い時はそれでもいいかもしれないが、そんな一生もつまらない。
 仕方ないので少し絵が描けるということで、京都で焼き物屋の絵付けの仕事みならいのようなことをやっていた。といっても何の素養もないド素人が満足な絵が描けるわけではない。工芸品でも何でもない、ただの土産物品の手慰みみたいな下手ものだった。二年ほどやったかな。親父が亡くなったて逃げ回る必要もなくなって辞めてしまった。これも情けない。
 ここに来たのは教育学部の美術専科に受かったからだが、将来東京で発表したいという下心もあった。ここで大きく人生が変わったことは確かだな。就職もしない、正規の教師でもない非常勤講師などという絵を描くにはまことに都合のいい仕事を見つけた。生徒には申し訳ないが、芸に自分の生涯を捧げたということで許してもらおう。



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