
はる 7041
個展のDMに一人前の経歴を載せたくて仕方ない頃があった。おかしなもので経歴がない頃にはものすごく欲しかった画歴が、年をくうことでどうでもよくなる。DMに画歴を載せなくなって何年にもなるな。フリーランスで仕事をしているにもかかわらず肩書にこだわる人がいる。名刺にやたらと肩書を入れたがる人は、それ以外には何もないということを証明しているようなものだ。
絵描きの場合に限らないけれど、学歴というのが大きな肩書になる。芸大卒というのは何物にも代えがたい勲章である。それ以外の美大はどこでも同じようなものといえば反発があるだろうか。どこの世界にも天才的な人間がいる。凡人が逆立ちしてもかなわないような達人がいる。それはそれで一つの領域として当然あってもいいし、認められるべき人たちだ。その人たちが芸術家であるかどうかは別の話だ。
画歴をみると1994年以降、個展以外に載せるべき経歴がない。反対にいえば94年まではやたらにコンクールに出品していた。賞金を狙っていたわけではないが、とにかくこの世界で名前を知られるようになるには名の通ったコンクールで上位入賞、できれば大賞をゲットするしかないと焦りまくっていた。いまでも覚えているのは「月刊公募」という雑誌に「無名の新人が世の中に出る手っ取り早い方法はコンクールで大賞を取ることだ」と自画自賛していた。
幸いなのか、幸運の女神は私の前後をかすめただけで振り向いてはくれなかった。まぁだから今の私がある。大きな渦に巻き込まれることもなく、淡々とドさ回り続ける今の私のスタイルが出来上がった。これはこれで私には似合っている生き方だと思っている。
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