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あそびべのHARU・ここだけの日々
画家・榎並和春

今日のアトリエ 麻布を貼る - 2020.07.13(ポケットの窓から)


はる 7014
 そうだな、今だから言えるのかもしれんな。こうやって巡回展を始めた当時は今のこの形を予想していたわけではない。20数年やってきて、結果的にこういう形が出来上がっていたというこではないか。何となく始めたことがやがては大きな道筋になって本道になって行くってことってよくあることだ。最初からこうやって巡回展をやって行けば何とかやって行けるだろうと計算出来たらそれは私ではないな。

 絵を生業にするという方法はいくらでもあるだろう。どこかに「絵描きのなり方」という本があるかもしれん。たぶんそこには美大に行け、いい師匠につけ、コンクールに出して受賞しろ、何とか画商とコンタクトを取って扱ってもらえるようにしろ、などと書かれているに違いない。たぶんそれは誰でも考える事ですごくありきたりだ。それをやってもたぶん絵描きにはなれないだろうし、ある意味会社に就職するよりつらいだろうな。人様の物差しで生きるわけだからどこに行っても変わらない。

 これは今までどこでも言わなかったけれど、私の師匠は高名な先生だった。いい師匠だった。そのまま先生の下にいれば努力次第でそれなりの地位と名誉を手に入れたかもしれない。けれど私はやむにやまれぬ事情で主旨替えをしてしまった。すべて私の不徳の致すところだ。そのころ色んなコンクールも花盛りだった。多くの若い作家が狭き登竜門を目指してしのぎを削っていた。少しでもメジャーなコンクールで受賞することが、この混沌から抜け出す唯一の方法だと信じて疑わなかった。上手く幸運のチケットを引き上げて一躍時代の寵児になった身近な作家もいた。あわよくばそうなりたいと真剣に願った。まぁそれもやがて何か違うのではないかと薄々気が付いていた。

 どういう風に生きてゆきたいのかということだな。ただ有名になるとか、地位や名誉が欲しいのか。そうじゃないわけだな。生業として職業として職人になりたいわけでもないわけだ。それなら就職して働いた方が楽だ。すごくわがままなんだけれど、そんなことありえないことなんだけれど、自給自足というのかな、実際に食べ物をそだてるのではなくてね、思想上の自給自足なんだな。あでもないこうでもないと考えながら思考の芽を育てて、それが絵だったり文章だったするのだ。それを世の中に問うて少しばかりの糧を得る。こんな生き方ができれば理想だな。こういうのを何というのだろう。

 そうすると自ずから個展の方法も変わって行く。それぞれの地方で待ってくれている顧客に今年はこんなもんが取れましたご賞味ください。今年はこんなことを考えましたどんなもんでしょう?また来年はもっと深く考えてきますから待っていてくださいな。そんな吟遊詩人のような生き方がいいな。

 

 


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