
はる 7006
作家として絵を売って食べて行くには団体展で賞を取って会員になってというふうにヒエラルキーを段々に上げて、やがて会のお偉方からの紹介で個展をやってもらう画廊に声をかけてもらうという手順を踏むのが王道だと考えられていた。会の重鎮になれば、どうやって食べているのか分からないけれど、なんとなく昔の家元制度のようなシステムでお金に困らないようになっていたらしい。だからみんなしのぎを削って会の構成員になりたがった。名前の通った大企業に就職するというのと何となく似ているな。芸術家というより人間的なつながりや地域や学閥の方が大切にされる日本独特のシステムらしい。今はまるで違う。そんな考えでのほほんとやってきた作家はほぼ壊滅でしょう。
作家として生きる方法は、百人いれば百通りある。これが正解というのもない。まして学校では教えてくれない。大学は専門学校ではないのでなおさらだ。大学の先生は絵を描く専門家ではあるけれど、突き詰めていえば教えることで食べている教師でしかない。自らが作家として食べていないのでそのノウハウを知らない。
ただ私は団体展に出品することも無駄ではないと思っている。若い一時多くの同じ志を持った作家たちと、しのぎを削った経験は私にそれなりの自信とモチベーションを与えてくれた。これがなければかなりレベルの低いクオリティで満足していたかもしれない。なにはともあれ、一線級の人たちの目にさらして鑑賞に堪える作品をつくということで鍛えられたきがするな。これはたぶん個展だけでやってきた作家とは違うのではないかと思う。
私は基本的に作家は個展が勝負だと思っている。団体展にも属しているので両方のいいところ悪いところが分かるのですが、意外にこの両方を上手くやっている作家は少ないのではないかな。