
はる 7005
もう長い間公募展に関係している。こういった公募展の元の形というのはフランスのサロンだろうか。日本で言えば日展みたいなものか。日本でも多くの若い作家がしのぎを削ってこういった公募展に殺到したのはもう随分前の話だ。日展に入選すれば地方紙のトップニュースになった時代もあった。まだ油彩画が西欧画といわれて珍しかったころのことだ。日本全体が貧しく絵を描いて食べて行くなどユメのまた夢みたいな頃だ。
今は公募展に頼らなくても色んな発表の機会がある。個展という形式もあるし、グループを組んで発表するという方法もある。最近ではネットで発表販売するという方法もあるようだ。だからなのか、わざわざ面倒な団体展など参加してくる若い人は減った。そこでたとえ入選しても、受賞してもほとんど話題にもならなくなった。経歴にもならないようだ。
私は絵を描いて生きたかった。それで食べて行けるかどうかは二の次の話で、絵を描きながら考えればいいと思っていた。どんな形であれ絵を描いてゆく、そう決めた。三十になった時だ。