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あそびべのHARU・ここだけの日々
画家・榎並和春

ブログ - 2020.05.09(写真)
無題3
はる 6950
 「仮放免者」という言葉も知らなかった。以下「仮放免者の会絵画イベント」から抜粋

「仮放免者」とはなじみの薄い言葉だが、現在日本に2217人いるという。1980年代バブル景気のとき、日本の労働力不足を補った外国人は32万人もいた。しかしその人たちは観光ビザで入国したためオーバーステイとなり、国外退去命令が出された。その後、多くの人たちが家族を形成し長期に日本社会に定着したが、扱いは「仮放免」のままだった。そのため就労や社会保障が認められず、生存権が奪われた状態で暮らしている。なかにはインドのシーク教徒で国で迫害され逃れ、日本で難民申請している人もいる。そんな実状を絵を通して、世の中に伝えようとする企画が今回の「絵画イベント」だった。

 知り合いから絵の審査を頼まれて深い考えもなく承諾した。こんな時期でなければ集まって審査したのかもしれないが、今回はネット審査だった。講評を頼まれて「日本で生まれて普通に生活していたら気づかないことに気づかされた」と書くと「普通」という言葉はよくないらしい。難しいな。彼らの置かれた立場は普通じゃなく特別なんだわ。日本で生まれて育ったにもかかわらず日本国籍がない。国籍がなければ不法滞在であらゆることが規制を受ける。存在してはいけないわけだからな。生まれた彼らには何の責任もない。日本で生まれて育ったにもかかわらず。悪いのはそういったことになると分かっていながら何の対処も講じてこなかった日本という国だろう。むろん観光ビザで就労したことも悪いには違いないけれどね。外国人労働者を無制限に入れようとしている。入れるのであればそれなりの準備をして入れなければ同じようなことがこれからも起きる。

 今回絵の審査をしてみて彼らの家族に対する想い入れというもの、家族の絆の強さというものに熱いものを感じた。あと人権意識の問題だ。マイノリティである彼らには手を差し伸べてくれる人がいない最弱者だ。人権という意識が薄い我々日本人にとってもっとも過酷な状態にいる彼らのことを意識する機会も少ない。彼らは我々の分身でもある。平和ボケしている我々には自分の問題として考えることは難しいけれど、人権はいとも簡単に踏みにじられる可能性がある。会って当たり前の基本的なものだけれど、非常事態になれば簡単にはく奪されることになるのだな。今の政権は憲法を改正して緊急事態条項を入れて恐ろしく人権を制限する権利を持ちたいと思っている。一度それを許してしまうともう再び奪い返すことは不可能になってしまうのだな。

 こんなことを感じさせてくれた審査だった。画像は審査大賞をとったガーナ出身の両親から生まれたリアンさんの作品。

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