
はる 6871
こんな意見を拾った。
笹本 正明
「カミュの『ペスト』は、オランという地方都市が伝染病のペストに襲われる様を描いているが、これはかつてヨーロッパで猛威をふるったナチズムの比喩だ。
カミュは直接ナチズムを描くのではなく、伝染病の比喩を用いることで、どんな時代にも通じる不朽の小説を残した。
ナチズムに対処するのも、伝染病に対処するのも、基本は同じだ(とカミュは言いたいようである)。
『ペスト』を久しぶりにめくってみると、まるで現在の日本を描いているように思える。
新型ウイルスが既に日本に入り込んでいるのと同じように、ナチズムの芽も、私たちの周りにひたひたと近づいている。これが大流行するかどうかは、私たちの対処次第なのだ。
あなどってはいけない。けれど過度に恐れすぎてもいけない。ナチズムのパンデミックを防ぐ為には、未知の伝染病に対処するのと同じように、慎重に、冷静に対処しなければならない。
ナチズムも人から人へと伝染してゆく。ヨーロッパの一部では既に猛威をふるっている。ナチズムの「感染者」には近づいてはいけない。自分だけは感染しないだろう、と甘くみてはいけない。
優れた文学にはワクチン効果がある。カミュは『ペスト』をそういう目的で描いた(と僕は思う)。
ナチズムは世界を覆いつつある。
この伝染病に感染しない為に、是非、カミュの不朽の名作を読もう」