
はる 6870
クロッキーは面白い。実際のものを見て描くクロッキーにしろデッサンにしろ風景写生にしろ、やればやるほど面白い。描きたい見本がそこにあるので迷うことがない。只一直線にモノと対峙すればいい。やればやるほど頭の中は空っぽになって、それこそ脳内モルヒネがきいて忘我の境地に至る。意識と無意識の境目にいる。そんなところが面白い。
しかし、これをいくら繰り返しても表現には至らない。ただ描写が上手くなるだけだ。確かに造形のなにがしかのエッセンスは含まれてはいるのだけれど、それに気が付かなければないのと同じだ。見えないものは、気が付かないものは描くことはできない。
ものすごく矛盾することだけれど、表現にいたる近道はこの意識と無意識の境目にあるのだな。いきなりそこに行ける人も稀にはいるけれど、多くの場合この訓練を経なければその境地にはたてない。