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あそびべのHARU・ここだけの日々
画家・榎並和春

- 2020.01.07(ポケットの窓から)


はる 6823
 年末に地塗りをしておいたパネルに少し手を入れ始めた。ランダムに色を乗せておいたものだが、見ているうちに何かが見えてくるのを待つ。見えてくるといっても結局は自分の心の中を覗き込むようなもので、自然に何かが浮かんでくるわけではない。よく個展などで何も下描きをしないのですか?と聞かれるけれど、下描きはしません。ぶっつけ本番で絵の具をたらしたり汚したり、コラージュしたり引っかいたり、何もしないわけではありませんね。悪あがきをします。

 ここ最近は墨汁を少し薄めて習字の筆を使っています。ですからどちらかといえば墨彩画にちかいかもしれませんね。墨は面白い画材です。かなり薄めてもそれなりの色をもっていますし、濃くすれば本当に真っ黒になります。色に墨を混ぜることでかなりのバリエーションを生み出すことができます。私の支持体は基本的には綿布に麻布なので、水性の墨との相性がすこぶる良い。油彩はキャンバスに樹脂で張り付いています。言ってみればかさぶたのように上に乗っかっているといった方がいいかな。ところが水性の墨は縦にしみこんで布と一体化します。故に物としてしっかり存在するのです。この墨を使った画法をもう少しマスターしたいなと思っています。

 先ほど見えてくるのを待つと書きましたが、ただボーっと眺めていただけでは何も浮かんでは来ない。自分の心の中にある微かな兆しみたいなもの、小さな物語とか、どこかで見た風景とか、昔に読んだ本の中味だったり、要するにもう一度生まれてから今まで感じたこと、思ったことを絵を見ながら振り返るんですね。あぁこんなことがあったなとか、こんな風に言えたらいいなとか、ぶつぶつ独り言をいうんですね。絵を前にして出てきたものと対話するです。そうやってだんだんに形になってくる。

 だから絵を見る人もそうやってほしいですよ。私が見えたものはすべてではないんですね。これは私の見えたものであなたのものではない。絵を見ることでそれをきっかけにして自分の心の中を見てほしいですね。それが絵を見る楽しみみたいなものじゃないかと思うんですよ。



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