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あそびべのHARU・ここだけの日々
画家・榎並和春

ブログ - 2020.01.04(ブログ)
はる 6820
 きょうは画像がとばない。
 徒然に「こたえてください」④
 油彩という画材では自分がやりたいことはできないのじゃないか?という疑問はイタリアに行く前から少しずつ大きくなっていた。私が学生だった頃70年代に大きなウエーブがあった。それは少し前に書いたような、日本人にとっての油彩画って画材はどうなの?という疑問から出てきたものだ。我々の頭の中にはどうにも舶来物に対するあこがれみたいなものがあって、海を渡ってきた文物は上等で手持ちの物は劣ってるといった偏見だな。まぁこれは今に始まったことではなく、弥生時代からこの国が始まってからずっとそうであったわけだ。我々のDNAにはたぶん優れたものは海を渡ってやってくるといった「まれびと」信仰のようなものがあるように思うな。

 話がとんでもない方に飛んでしまったので、戻します。
 私が絵を描いてゆこうと考えた時に、迷わずに油絵をやりたいと思ったのはひとえにこの西欧に対する憧れを否定することはできないな。水彩や水墨画をやろうとは思わなかった。選択肢には浮かんでこなかったのは、水彩画より油絵の方が高級であるという思い込みのせいだろう。

 で、学生時代の話に戻ると、ちょうど世の中全体が自分たちのアイデンティティを問い始めた時期と一致する。今までは何の疑問もなく、油彩画といえば画材店に飛んで行ってキャンバスとチューブに入った油彩の絵の具を買ってきて、イーゼルにキャンバスを立てて木炭で下描きして、オイルを使ってゴシゴシ描けばそれらしい油彩画が出来上がった。それはそれで価値はあったのだけれどね。

 さて油彩画ってなんだ?絵画ってなんだ?ということを疑問に感じ始めると、どうも尋常ではいられなくなる。日本の絵画を志す多くの人たちが一斉に気づいたんだな。これが不思議なんだけれど。70年代に色んな学校でも絵を描く材料という分野ができるんだな。

 絵を解体すると、描くものと描かれるもの(支持体)に大きく分けられる。描くものは油彩であったり、顔料であったり、岩絵の具であったりするが、もとをただせば色のついた粉なんだな。それを何で画面に定着するかで名前が変わる。植物の樹脂で定着すれば油彩画になり膠で定着すれば日本画とよばれる、水性のノリなら水彩画となる。しかし、元をただせば色の粉を何かで定着したものに過ぎない。支持体は紙であり布だったり木だったりなんでもいいわけだ。

 カレーを作るのにビーフカレーやキノコカレー、チキンカレーといろいろバリエーションが考えられる。けれどカレーのルーを買ってきて中に入れる具材を変えたところで本質的には何も変わらない。一種類のカレーであってそこに新しい発想は何も生まれない。ところがカレーのルーをその材料(ターメリックなど)から作るとなるとバリエーションは千変万化いくらでも新しい発想がうまれる。それと同じことだな。

 イタリアから帰ってきて油彩画をやめた。まずパネルに綿布を貼るところから始める。次に麻布をを張込む。色んな布をコラージュする。絵の具は基本的には水性で水になじむものなら何でもいい。土でも日本画の顔料でも水彩絵の具でも、それをアクリルのノリで画面に定着するミクストメディア(混成技法)という描法を考えた。

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