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あそびべのHARU・ここだけの日々
画家・榎並和春

今日のアトリエ - 2019.12.27(ポケットの窓から)


はる 6812
「こたえてください」②
 絵を描き始めてからずっと疑問に思っていたことは、例えば学校では風景写生とか花を並べて静物画を描きます。最初はデッサンとか明暗法とか配色なんて知らないわけだけれど、まぁいろいろ勉強しているうちにそこそこ様になってくる。普通はそこまでだな。

 学校で勉強するといっても基礎的なことは誰がやっても同じことで、それ以上は自分で探すしかない。私が疑問に思っていることが全ての人に共通する疑問ではないからだ。人は自分の度量でしか物事が見えない。特に芸事というのは奥が深くて自分が今いる位置でしか理解できないのだな。何でもそうかもしれんけど。

 私が思っていたことは奇麗な花や風景もいいけれど、もっと切実な表現をしたかった。今自分が直接悩んでいることや、疑問そのもの絵を描くという場に持ち込んでダイレクトに観る人に訴えたかった。またそうでなければ絵に一生をかける意味もない。単に壁の飾りを描く職人仕事で終わりたくなかったんだな。

 しかし、今の風潮のなかで絵画の領域というのはそこまで求められていないわけだ。絵画にはもうそれだけの力がない。まぁそれはそれで仕方ない。私はあくまでも自分なりの表現ということにこだわって行こうと考えた。できるかどうかわからないけれど、分からないことを絵を描くことで探してゆくという方法をとることにした。そうやって一生問いかけるそれでもいいと思った。

 「こたえてください」というのはそういった私の根源的なモチベーションを表しています。このタイトルを思いついたときは震えるくらい興奮した。問題の解決を提示するのではなく、答えを求めるそういう姿そのものが絵を描くということなんだと思った。

 それまでもかなり宗教的なテーマで絵を描いていましたが、まだ自分の言葉ではなかったんですね。どこかから借りてきたよそ行きの言葉を使って気分のことを語っていました。そこそこ絵にはなっても人の心をつかむまでは至らなかったと思います。




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