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あそびべのHARU・ここだけの日々
画家・榎並和春

スケッチ - 2019.07.08(作品)

はる 6641
 新聞の原稿
 1995年から一年間イタリアで暮しました。今回は少し趣向を変えて一度Webで発表した文章に、少し手を加えて載せて行こうと思います。
イタリア滞在記1
 アムステルグムダ経由でローマ・ダビンチ空港に着いたのは1995年4月18日の深夜だった。 これから一年間お世話になる利夫さんとは、一面識もなく、電話で到着の時刻を告げただけだった。不安な面持ちで空港のロービーで待っていると、「ヨッ」と言う陽気な言葉と共に 利夫さんが現れた。それまでの不安と疲れが一度に吹き飛んでしまった。

 ローマから車で一時間半ほど北に走った所にカピトーネ村がある.。地理的に言えばローマとアッシジの中間点になる。利夫さんは在イタリア20年のベテランツアーコンダクターで、イタリア人のマリアと息子のタロー君の三人でここで暮らしをしている。

 カピトーネ村は高原の村だ、見渡す限りになだらかな丘が続き、薄黄緑色の牧草とオリ ーブの苔むした緑と葡萄畑の濃い緑が美しい階調をつくっている。煉瓦色の屋根と乾いた 薄い薄土色の壁、黒い糸杉ときらきらと光るポプラ、始めて見るイタリアの田舎の美しい風景 に言葉を失うほど感動した。

 初めの一ヵ月ほどは車がなかったので、家の周りを歩くしかなかった。天気が良ければ いつも午前中はスケッチに出かけた。

 五月といっても朝夕はかなり肌寒くリビングの暖炉 には火が入っていた。それでも陽が登れば、イタリアの輝くような太陽が照りつけ汗ばむ こともあった。

 いつものようにスケッチの道具を持って家を出た。愛犬ロビンが後を追って来るが、無視すると隣の家の近くで諦めて帰る。ここからは一人だ。何処でもすべて絵になるのだが、それなりに構図を考えなくてはならない。うろうろして時間を取られる、いつもそんなことで焦ってしまう。午後になると光の様子が変わるからだ。

 隣の家の畑から の場所に決める。遠くに農家と家畜小屋が見えるこの場所は、いつも下町へ行く時に通 る 道で、丁度午前の最後の光が大きな樹に濃い影を作らせていて、それとまだ充分新芽の出 ていないオリーブの樹の薄く霞のかかったような枝とのコントラストが面 白く、いつか絵 にしてやろうと思っていた。

 良く見ると薄黄緑色の牧草の中に点々と羊が草を食んでいる のが分かる。ゆっくりと実にゆっくりと彼らは移動していて、気がつくと視界から消えて いた。


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comment(2)

 
 
はい、今年は20年ぶりにイタリアに行ってきます。現地からどれだけ報告出来るか分かりませんが、写真だけでもアップできたらやってみます。できなかつたら、あしからず。

 
ゆっくりと移動してゆく羊。広がる草原。
ああ、いいなあと思います。
イタリア旅行記、本になるといいですね。

secret


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