
はる 6605
そうだな、売り絵」という言葉がよくないね。昨日地元の古いデパートに用事があって出かけたのだが、そこには相も変わらずどこでもあるような売り絵が展示されているわけだ。まぁ要するに風月花鳥の明らかに綺麗なインテリアとしての絵画なんだな。それがよくないのか?といわれるとそうでもない。そういったコーナーがあるという事は需要があるということだな。インテリア絵画ならそれはそれでいいのだが、それが芸術という仮面をつけてかなり高価な値段がついている訳だ。
デパートで個展を開催するということはそういった「売り絵」を描く作家になるということだ。はたして私の絵がそういった範疇に入ることが出来るのか?やったはいいけれど売れなくて一回で終わってしまうのではないか。まぁそれならそれでいいのだけれど、明らかに自分の路線の変化ではないか、これから売り絵作家としてやって行くのか?色んなことが頭をめぐる。
あれから10年以上たったけれど、さてどうなんだろう。隔年で東京と大阪の代表的なデパートで個展を続けて開催している。だからといって自分の絵が大きく路線の変化をしたとは思わない。他人からみれば分からないけれどね。あいつは売り絵作家になったという人もいるかもしれんな。
お客さんを意識しないかといえば嘘になる。小品は売ることを売れることを前提に描いている。第三者の目で見てこれを欲しいと思うかどうかが大きな判断の基準になることは確かだ。だからと言って自分の表現を無視しているかと言えばそうではない。私は私の絵の中に自分の分身を入り込ませている。綺麗にこまかく描こう、お客さんが気に入る作品を描こうとは思ってない。そこのところが微妙だな。私は私の絵を描いているに過ぎない。それで人様が喜んでくれればこんなに嬉しい事はない。作家冥利につきるというものだ。
日々生きているそのことが作品そのものだ、発表の形態は街の画廊でもデパートでも同じことだ。そう思う。