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あそびべのHARU・ここだけの日々
画家・榎並和春

今日のアトリエ - 2019.05.09(ポケットの窓から)


はる 6581
 新作の準備にかかる。毎年どれくらいの作品をかいているのだろうか。仕上がらなかった、または潰してしまったリメイク作品も多い。それでも半分以上は下地から作り上げて行く。ざっとカウントすると百点以上描いている。

 昔は油彩画を描いていたので、まずキャンバスを買ってきて地塗りしてといった方法だった。何の疑いもなく、それが普通だったのだな。それが今の混成技法になってからまったく変わってしまったわけだ。最初の頃はキャンバス地を裏表逆にはったりしていたのだけれど、色んな画材をコラージュするようになってくるとキャンバスである必要がだんだんなくなってきた。もっと堅牢な支持体が欲しくなってきたわけだ。

 油彩画以前のイコンなどのように絵というより一つのオブジェとしての作品を作りたかった。そこら辺の事は何度もかいてきたことだけれど、絵画の需要というのはまぁ一つはインテリアとして飾るというのも大事な要素だとは思う。でもなぁ作家として一生かけてやる仕事としてインテリア工芸作家じゃいやなんだ。何とかもっと切実な観る人のこころに食い込むような表現にしたかったわけだ。そう考えるとどうしてもイコンのような観る人の心の拠り所としてのオブジェでなきゃならない。それならば一生かけ甲斐がある。

 キャンバスに描かれる絵というのはどうも飾り物、インテリア風なんだな。物としての抵抗感、存在感が薄い。昔旅人が長い旅をする時に、魔除けというのかある種のお守りとして手のひらにサイズの小さな護符や仏さんを持って歩いたそうだ。人はやはりそういったモノが必要な動物じゃないのかな。信仰、宗教というほどいかめしいものじゃなくてね。自分がここに居ることを確かめる、確かにここに居るんだと確認するみたいな。

 時代はどんどん仮想世界になってゆくのだけれど、人間が人間である限り、やっぱりしっかり物が存在する、そんな確かなモノがほしかった。

 こうやってパネルを綿の布でくるんでさらに麻布を貼りこんでジェッソで地塗りしてというふうにやっていく過程で、段々とただのパネルのベニヤ板が掛替えのないモノに変わって行く。そこの工程を経なければパネルはただのパネルでしかない。そこが面白い。ただキャンバスを買ってきて絵を描くだけでは絶対に得られないものだ。

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