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あそびべのHARU・ここだけの日々
画家・榎並和春

今日のアトリエ - 2018.08.07(ポケットの窓から)


はる 6306
 24歳の頃、午前中は近くの八百屋さんでアルバイトをしていた。八百屋といっても近くに大きなマンション群があったので、今でいうショッピングモール街のような形で大変お客さんは多かった。アルバイトも常備10人ぐらいいただろうか。私は午前中しか働かないのでもっぱら裏方で、朝早く市場から競り落としてきた野菜や果物を要りょよく古いものと新しいものを入れ替える、袋詰め、パック詰めする、掃除する片づけるそんな仕事をやっていた。

 昼からは京阪三条まで出てそこから自転車に乗って平安神宮近くの関西美術院という美術研究所でデッサンの勉強をするという日課だった。最初の頃はそれでも充分楽しかった。しかし、絵を描いてゆくとは決めていたけれど、それで将来どうなるのか。本当にそれだけでいいのか。漠然とした不安にさいなまれていたことは確かだな。昼間電車に乗っていても、こんな真昼間学生でもない自分がこんなふうにしていていいんだろうか、誰が見ているわけでもないのに肩身の狭い想いをしていたな。人間とは悲しいものだ。皆と同じでない人生を選択したにもかかわらず、同じでないことが不安になるのだ。

 同じことならもう一度大学に入って一から勉強し直すという考えが浮かんだ。デッサンを勉強している仲間が受験を目指していたからかもしれん。俺ももう一回受験してみようか、学生と言う身分になって周りの目を気にしないで堂々と絵の勉強ができるというのは我ながら名案だおもった。

 しかしながら、もうすでに独立して自活していた私がいける学校などあるのだろうか。それが問題だ。経済的なこともある。受験勉強するとしても昼間今のアルバイトしながらだと長くは無理だな。一年くらいならなんとかがんばれそうだ。ということで作戦をたてた。経済的な事を考えると国公立しか無理だ。当時授業料は年間96000円だった。それでも数年前までは12000円だったからかなりの値上がりだ。国公立の美大となると一年浪人したくらいの実力じゃ受からんだろう。というわけで国立の教育学部の美術科を北海道から九州まで調べた。候補に上がったのは北海道教育大、秋田大の教育、京都教育大、と山梨大。教育学部なら今のデッサン力で充分だけれど学力が到底間に合わない。

 6月頃から本格的に受験勉強することにした。数学と理科と国語はラジオ講座で何とかなるだろう。問題は英語と社会だな。これを何とかしなきゃ国公立には受からない。出来ないもんは仕方ない。出来る事だけ的を絞って徹底的にやった。私の人生の中で一番勉強したのはこの時だな。もう後がない、やるしかない。

 山梨大学は当時は国立二期校。三月の終わり頃かな。片道切符ではないけど、ここに受からなきゃ、もう受験は諦める。そんな晴れ晴れした気もちだった。若い高校生に交じってもうすでにおっさんの受験生だ。まぁ面白かったけどな。まぁたまたまラッキーな事に受験生は3人ぐらいしか居なかったからね。これは受かったとおもった。筆記試験の方も数学以外は割とできた。数学は難しくてみんなできなかったようだから助かった。

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