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あそびべのHARU・ここだけの日々
画家・榎並和春

今日のアトリエ - 2018.02.22(ポケットの窓から)


はる 6139
 二匹目のどじょうではないけれど、この間の話の前(写生から)の話をしましょう。違うという人はスルーしてください。

 もちろん写生にも自己表現があります。でも比較的にその割合が少ないし意識するようにとは教わりません。何も考えずに頭をからっぽにしてモチーフに向かう事で比較的に簡単に無意識の領域に入ることが出来るのですね。まぁ要するにもうここで結論が出ていますが、如何にして無意識のというのか天然の状態になるかという事になるのでしょう。最初から天然の人もいますが、普通の人はかなり練習しないとそこまではいけません。

 話がまたそれてしまいました。絵を描く人が誤解していることが一つあります。発達段階ではありませんが、最初は写生から始まって段階を踏むと自然に造形の段階に入って行けると思っていることです。これははっきり言いますが、写生は表現の前段階ではありません。写生は写生で一つの大きな領域なんです。写生で画道を全うしようと思うならそれも一つの生き方だとおもうのです。ただ写生をいくら繰り返しても造形的な絵にはならないということです。造形的な絵にしようと思ったら意識を変えなければなりません。反対に言えば何かを意識することから始まるのです。絵で何が出来るか、何をしようとするのかを意識することです。

 ここでセザンヌの話を書いたものを載せます。
はる 5791
 画面をどうして平面化するのか?という質問を受けた。そうだな凄く当たり前にそう信じて絵を描いてきたけれど、あらためて聞かれると上手い具合に答えることが出来なかった。何故なんだろう、考えながら書いてみる。

 画面の平面化を意識したのは、学校に入って毎日絵だけを描いていればいいという環境になってからだな。静物を並べてそれをそのまま描いていた。ところが何枚も描いている内に段々飽きてくる。どう描いてもそんなにかわり映えしないからね。受験勉強のようなテクニックだけの絵を描いても仕方ない訳だ。がりがりの具象をやるならそれでもいいのだけれど、そちらの方には興味が向かなかった。

 具象でありながらどこか新しい解釈で絵を描く方法がないかと模索しているときにセザンヌと出会う。むろん昔からセザンヌは知っていたけれど、それほど臨場感はなかった。ところがその時にセザンヌの方法が道しるべのように立って私に方向を指し示してくれた。取っ掛かりを与えてくれた。そこから近代の美術史が目の前に開けたような気がして嬉しかったな。ピカソ、ブラック、などのキュピズムの巨匠たちの方法徹底的に真似した。

 なぜ平面化なのかという問いだな。ここらあたりにヒントがあるきがするな。絵画の再現性みたいなことだけれど、写真が出来るまではリアルな三次元空間を再現するというのが絵画の一つの大きな役割だったわけだ。ところが写真が発明されて視覚的なリアリティはカメラに負けてしまう。それを追及したところで叶うはずもない。

 もう一つは作家の表現ということになるか。職人としてよりも作家として自己の表現ということを第一とするようになってくるわけだ。そうなってくると反対に絵画の再現性みたいなものが反対に邪魔になってくる。そこに縛られていたのでは表現の枠が狭く感じられるようになってきたのではないかな。絵画の本質はそこにはない。作家の表現を第一に考えるならば絵画の再現性という枠から出る方が自由になるという事かな。

 セザンヌがやった重要なことは絵画をリアルな再現性というところから解き放ったことだ。時間経過を多視点という方法でとらえてあらためて自分の意思で組み直して構築したという今までの絵画ではまったく考えられなかったことをやったことだ。これで絵画は閉じられた空間の中である一定の理で並び替えられた色と形の集合体であるという理論に行き着くのだな。

 何故平面化か?という問いの答えは、絵画を再現性から解き放つことにある。再現性から自由になることでダイレクトに自己の表現に向かえるからだ。そのことのために絵を描くのだからね。


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