はる 5762
もう10年ほど前になりますが、何点かいたずらで廃材でオブジェを作りました。その中の一点です。似たような作品はすでに手元にはありませんが、これは手放せなくてどこにも出品しておりません。隠れキリシタンのマリア像のごとく神棚に飾っておりました。
いいか悪いかそんなことはどうでもいいのです。崇高でなくても品格がなくてもまして芸術でなくてもいいのです。それが人の形をしていなくてもいいのです。自分の中で何か祈りの対象としてのモニュメントであればいいのです。ただの石ころでもお札でもいいのです。心の拠り所としてただあればいいのですな。信仰などという崇高なものでない。ただのお守りで充分だ。たまたまできた物が自分にとって心安らぐものだったので取って置いたものだ。ただそれほどのこだわりもないのだけれどね。
「美は発見である」と誰かが言った。上手い事を言う。一本の廃材から私はこの形を見つけた。他の人が見ればまた違ったものに見えたかもしれないし、そのまま打ち捨てられる運命にあったかもしれない。たまたま私が通りかかって気になってい家に持ち帰って少し手を加えた。 自分の絵の描き方とよく似ている。自分にある物しか出てこないのだな。