はる 5069
一見昨日の絵と違って見えますが、やっていることはほとんど変わりません。セザンヌから始まったキュビズムは多視点という方法で違った場面を一つの画面にまとめました。見えたまま描く遠近法ではなく記憶にある、過去に見た経験も画面の中に取り込むということをしたわけです。
ところでこういった方法はカメラや映像の発達で多くの作家が影響されていたようです。印象派の頃から写真が出てきて動くものの描写に利用されていたようです。あのベーコンの人の顔がぐるりと一回転したような絵もそんなところから出てきたのじゃないかな。
それはさておいてこの絵の話に戻ると、簡単に言えばダブルイメージという事になる。今でもよく使う手なのですが、モンタージュとかコラージュに近いかな。一つの画面に違ったものを組み合わせて新しいイメージを作るという方法。この方法だと下絵を二つ用意すれば実際に物を見なくても何とか絵にすることが出来る。人物の中に風景の一部が入ってきたり、また反対に風景のなかに人物が溶け込む。
技法で言うならそんなことをやっているのだが、やりたかったことは物を一度バラバラに解体してもう一度自分のルールで組み立てるといったことをやっている。