はる 4956
こういった版画も結構面白い。版画と言っても下地に色んな色を敷いてあるので刷ってみないと仕上がりが分からない面白さがある。一般多色刷でもないし、こういうのを何というのだろうか。凹版に見えるけれど、凹版ではない。凹版はへこんだ部分にインクが入って線が印刷されるものをいう。私の物はもっと簡単なもので、飛び出している部分にインクが付いて印刷される。
しかし、このやり方は私のいつもの作品の作り方とよく似ている。下地に色んな色がはいってそれだけで抽象画のように見える。↓の写真はその途中の様子。こうやってその上に線彫りした形を乗せる。彫り込んだところは下地の色がそのまま見える。そこを少し計算するわけだ。紙に元々色がついているものを選ぶのでさらに複雑な予想がつかない色味が出る。
いつの間にか何かあるとこういった版画を作るようになった。どこを切っても同じようなものが出てくる金太郎あめのように、どんなところにも大なり小なりその人間が出てくる。
作家として、名をあげ身を立てるのは大変な事だけれど、まぁここまで来てしまったから言うわけではないが、端からそんなことはどうでもいいわけで、もしそれを目指すのであれば他の事をした方が世のため人のためだろう。私にとって最も大切なことはこうやって生きてきた、これからもこうやって生きて行くということそれだけなのだな。