はる 4569
今若い作家が何とかやってゆこうと考えた場合どんな方法があるのだろう。私などが考えるのだからもうすでに古いのかもしれないが、一番の方法は今一番メジャーなコンクール(VOCAなど)で受賞することだろうな。ただ美術界ではメジャーであっても世間一般ではほとんど知られないわけだから、それでメジャーといえるかどうかだな。それよりも手っ取り早いのはテレビにでもでて名前を売るほうが速いかもしれない。本末転倒だけれど一つの方法ではある。昔村上隆がメジャーになる前にそんなことを言っていたな。
今勢いのある画廊というのは海外のアートフェアーなどに盛んに参加している画廊だ。アートフェアーというのは画廊の見本市みたいなもので何十、何百の画廊が一箇所に集まってその画廊の推す作家の展覧会をやって見せるという実に経営的な戦略なんだな。そこで売買されるのは何だろう、私などが考える絵画とはちょっと違って投機的なにおいがするビジネスの世界だ。絵画のグローバル化が叫ばれるのはそういった投機的なミテクレに耐える作家が欲しいということじゃないかと思うんだな。
私たちが個人的に絵が欲しいとか、もっと身近でコレクションしたいといったことは、もっと個人的なレベルの話であって、そこらあたりとはまった違う話だ。もっとも絵の楽しみというものはそういった個人の楽しみから一歩も出ないものであって、グローバル化するようなものではない気がするな。