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あそびべのHARU・ここだけの日々
画家・榎並和春

イコンの話 - 2013.05.28(ポケットの窓から)


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はる 4343
 私などがやっている描き方を最近はミクストメディアなどという。適当な訳がないので、一番よく使われるのが混合技法というものかな。調べてみると間違ってはいないようだけれど、正確には混合技法といえば佐藤一郎などが命名したテンペラと油彩の併用技法の事をいうらしい。こんな言葉は造語になるかもしれないが混成技法(異なったものを混ぜ合わせる)というのが適当かなと思う。

 そもそも言葉通りならばもっと広い意味が出てくる。(異なる媒体を混ぜ合わせる)だから、例えばビデオと光や音と組み合わせたインスタレーションのようなものもミクストメディアの範疇に入る。時間や空間なども材料の中に入れればもう何が何だか分らなくなってしまう。しかし、今のアートシーンはそこまできているのだが、私には今ひとつ臨場感がない。

 しかし、考えてみると油彩だ水彩だパステルだと単体の画材で表現したのはそんなに古いことではない。そもそも絵を描くといえば画材店に出かけて絵の具を買ってキャンバスを買ってなどという幸せな時代はここ百年ぐらいなものじゃないかな。それまでは人はそこらで手に入るものを絵の具にして、適当な色んなものに描いていた。そう考えると、ミクストメディアは絵を描く技法としては最も古い方法ではないかな。

 上の図はまだ油彩に描き方が確立されていない15世紀ごろの西欧の祭壇画(イコン)の断面図です。ここでいうテンペラ絵の具というのは簡単に言えば、顔料(色の粉)を卵黄で溶いたもので、身近にあって接着剤として優れているばかりでなく、ここが大事なのだが、水と油を上手い具合に結びつける魔法のような力もあったのです。

 その卵の役目(水と油を馴染ませる)のことを乳化剤というのですが、その溶剤を用いると水でも油でも溶く事ができてまことに都合。尚且つ、乾くと耐水性になるというそれこそ盆と正月一緒になったような好都合な溶剤だった。

 ここです。この乳化した状態をエマルジョンというのですが、今現在手に入れることが簡単に手に入れることが出来るエマルジョンといえば、アクリル樹脂エマルジョンなんですね。テンペラとの違いは、アクリル絵の具はアクリル樹脂と水のエマルジョン状態ということでアクリル絵の具は現代のテンペラ画ということが出来るのではないかな。

 話はイコンに戻って、よく見ますと一番下層は無垢の板を額縁状に掘り込んだものだ。その次にジェッソ(下塗り塗料)を塗って麻布を貼り込んでまた石膏を塗りこんで、その上に金箔を貼ったりした後、テンペラ絵の具で絵を描いてゆく。最後はニスを塗ってイコンを保護するのだが、ここまでの手順を見ていると今の私の方法とよく似ている。使う絵の具が卵のエマルジョンかアクリルのエマルジョンかの違いがあるけれど、基本的な絵の作り方は似ている。正確に言えば、似ているのではなくて私がこの方法を真似したのだ。

 もう眠くなったので、結論を先に書くとイコンはミクストメディアだということだ。もっというと日本画は膠テンペラの一種であってこれもミクストメディアに限りなく近い。
 


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