はる 4052
松井今朝子の「一の富」から
「神仏の目から見れば、実の親子とて、所詮この世の仮の契りにすぎぬ。親子であれ、兄弟であれ、夫婦であれ、人の縁はなべてこの世の作り事でしかないのじゃ」
読む本がなくなると、古本屋で一冊百円の文庫本を10冊ほどまとめ買いする。どの道読んでしまった後はまた同じ本屋に持ってゆくわけだから、貸本に近いのかもしれないな。ほとんど中味を吟味することなく、ためらう事も無く、時代小説なら何でもOKという選び方をする。
上の松井さんも作家として知っていたわけではない。たまたま手に取った中の一冊だったわけだ。時代小説、大衆小説といっても侮る事無かれ、どんな本にも何かしら心に引っかかるフレーズがあるものだ。それは人それぞれなんだけれど、引っ掛かりを感じたそこに私の心の中味が見え隠れするというわけだな。だからまぁ面白い。
暑い夏場は、午後からは風の通る廊下でひっくり返って文庫本を読む。これが省エネなかしこい夏のすごし方だ。