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あそびべのHARU・ここだけの日々
画家・榎並和春

イタリア滞在記 9 - 2005.09.11(日記)

         9 初めての国外旅行の巻 4

 

 オーストリアの古都ザルツブルグに行きたいと思ったのは、モーツアルトの生地であるということが大きな理由だ。最近は聴く音楽もだんだんバッハからグレゴリオチャント、どちらかといえば、絵画と同様にプリミティブな自然な音楽が、一番楽に聴けて今の私には快いのだが。天才モーツアルトの流れるような旋律は、例外でオーストリアに行くなら是非、彼の生地を見てみたいと思った。

 ホテルからとことこ小さな商店街を下って行く、こう言った商店のウィンドディスプレイは、はるかにラテン系の民族の方がうまい、ゲルマン民族は質実剛健で味気ない。ザルツブルグ城でコンサートがあると言うので、軽い食事をとってお城に向かう。ザルツブルグのどこからでも見えるこの中世の城は、小高い丘の上にあってケーブルで登る。

 このお城からの眺めは、たぶんモーツアルトもながめただろう。ザルツァッハ川を挟んで広がる旧市街の街並を眺め、コンサート会場である「領主の間」に向かう。九百年以上経っているこのお城の中は、狭い階段が迷路のように続き、ドラキュラの館もさもありなんと思われた。広間はかなり広く、厚い板敷きで歩けばギシギシと床鳴りがした。舞台の背後は小さな窓があり、開け放たれた窓から、早い夏の今日最後の光が、舞台上の譜面台を浮かび上がらせていた。この広間自身が一つの楽器でどんな最新のコンサートホールを持って来てもたちうち出来ないだろう。夕闇迫るこの古城で聴いたモーツアルトはこの旅の収穫の一つだ。

 オーストリアの首都ウィーンで是非見たかったのは、十九世紀末の美術集団分離派のクリムトやシーレはもちろんだけれど、絵画ではなく異端の画家兼建築家のフンデルト・ワッサーの家である。バルセロナのガウディーほど有名ではないけれど、植物を連想する有機的な形は共通点がある。しかし彼の場合かなりアバンギャルドで初めて見るとギョッとする。探すのに苦労したが、ちょうど開催していた彫刻家のマリノ・マリーニのデッサン展もみることができ、旅の疲れも出てきたところだったので一日目は早々にホテルに帰る 次の日は街の探索に出る。ホテルから地下鉄に乗って旧市街地へ。このところ旅もだいぶ慣れてホテルさえ決めてしまえば、後は街の地図と交通マップさえあれば何処でもいける。先ず異様なタマネギ頭のような分離派展示館へ、クリムトの壁画が少々、がっかり。旧市街はさすがにハプスブルグ家、いままで訪れたどの街よりも豪華で絢爛だ。博物館や大学、王宮、劇場、オペラ座にゴシックの大寺院、有名な高級ブティックやカフェ、大道芸人たちが楽しげな音楽を奏で、道行く人々もどこか優雅で暇人風。山の手線の内側ぐらいの地域にこれだけのものが凝縮すれば、文化は爛熟しやがて頽廃的な耽美主義が台頭してくるのは必然だろう。そんな独特な雰囲気のあるウィーンの街を後に、歩き疲れた二人はローマ行きの夜行列車に飛び乗ったのだった。



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