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あそびべのHARU・ここだけの日々
画家・榎並和春

イタリア滞在記 2 - 2005.09.04(日記)

         2 美人は三日で飽きるの巻

 時差ぼけと、極度の緊張で、よく眠られず、早朝に目が覚めた。薄ぼんやり、明けていく空の下、初めて見るカピトーネ村の風景は一生忘れる事はない。薄黄緑の牧草と、オリーブの苔むした緑と、ブドウ畑がなだらかに続く丘の起伏の上に、美しい階調をつくって続いている。

 点在する白い塊は、よく見ると羊たちの群れで、ゆっくりと移動している。レンガ色の瓦屋根と、白い壁、糸杉とポプラ、すべてそこにあるのが自然でうまくレイアウトされている。風景がこれほど美しいものだったのかと、しばし呆然と眺めていた。 イタリアに暮らしてみて思うことは、彼らはなにが美しいのか、もっといえば、なにが人生にとって大切なのかを、どんな田舎のおじさんでも、心得ていると言うことだ。昔の日本にはあったのだけれど、悲しいかな現代の日本には無くなってしまったものが、イタリアの田舎にはある。

 カーサ キムラは、広大な土地に、フドウやオリーブを植え、野菜なども自給自足する田舎暮らし、ただやっぱりどこかお洒落だ。

 お洒落といえば、イタリア人はとことんお洒落だ。ローマなどのバールのボーイさんなどをみればよくわかるが、とにかくカッコいい、彼らの伊達男ぶりには頭が下がる。内容もさることながら、見栄え、外見のカッコよさに命賭けているようなところがある。

 いい意味の見栄っ張り、言葉をかえれば、ダンディズムこれが生きているように思う。本音と建前とよく言うが、現代の日本では、本音ばかりが大切にされて大義名分がおろそかにさされているように思う。「武士は食わねどたか楊枝」これって立派なダンディズムだと思うがいかがなものか。

 私たちの住んでいた村から、車で十分ぐらいの所に、ナルニという少し大きな古い町があり、イタリアのほとんどの町がそうであるように、小高い丘の上に、城壁をめぐらし、その中に石作りの建物や噴水、石畳を作り、未だ中世そのものの雰囲気を醸しだしている。

 毎年五月にそこで、日本で言う、時代祭りがあり、初めて見るその光景には、鳥肌がたつほど興奮した。舞台設定は充分でこれほど効果的な大道具はないだろう。照明の当て方や衣装デザインのセンスは、こんな田舎町のお祭りでさえ、脱帽する。

 そのなかの古いフランチェスコ派の教会で聴いたグレゴリオ聖歌のアカペラはかけひきなしに、素晴らしいものだった。半年後にこの町で、個展ができるなどとは、夢にも思っていなかった。

 なんだかんだと、一ヵ月近くなにもしないでこの村にいた。美人は三日で飽きる、の例えどうり、ハネムーンはそう長くは続かない。最初に音を上げたのは、かみさんの方で、確かに、風景は美しい、空気はうまい、けれど、日々の生活は、退屈で、やっぱり日本に居るときと同じように、掃除や洗濯、食事の準備があるわけで、夢のようなことばかりではない。なんとかして車を、手に入れる必要がある。動く自由を確保しなければ、このまま一年終わってしまう、欲の出てきた二人だった。



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