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あそびべのHARU・ここだけの日々
画家・榎並和春

私そのもの - 2011.12.05(ポケットの窓から)

はる 3816
 安井賞を受賞する前の独立美術の木津文哉さんとか中嶋明さん、国画会なら肥沼守さんや浅野アキラさんなども盛んに銀座で個展をやっていた。まだほとんど無名であった、わたなべゆうさんが顔を見せてくれた事もあったな。私も勿論若かったけれど、彼らもまだ世の中に認知される以前の何者でもない若者だったわけで、私などは勝手に親近感をもってみている。

 銀座で個展をやって意味があるのか?と聞かれることがあるけれど、そうだなぁ、確かに大変な苦労をして手間と暇をかけて個展にこぎつけるわけで、それに見合った効果があるのかと言われると、疑問だな。どこかの評論家が拾ってくれるとか、有名な画商が目をつけてくれるとか、コレクターがつくとか、まぁあるかも知れないが私に限ってはそんな上手い話はなかった。

 けれど、地方の誰も知らないような展示場でやるよりも何倍も手間も暇もかかるけれど、自己満足かもしれないが達成感はあった。同じ時代に同じような志を持って集まってきた連中と少しだけでも共有できた時間や雰囲気、時代を共有しているという盛り上がった気持ちはあそこでしか味わえなかったように思う。時代はバブル真っ最中の90年前後の話だ。

 95-96とイタリアに旅行、帰国後銀座での発表はギャラリー惣にお世話になる。最初は勿論貸し画廊で始めた。その後少しずつ作品も売れるようになってきたこともあって企画になる。とはいっても、飛ぶように売れたわけでもなく画廊代を払うのと同じくらいの収益しかなかったと思う。銀座には数多くの画廊があるけれど、世の中で初めて認めてくれた画廊がここだった。絵描きとしての一歩をやっと出せた気がした。最初に企画にしてくれたギャラリーというのは頭が上がらない。

 2007年に転機が訪れる。全国の大手のデパートの画廊に個展を企画しているHさんと知り合ったことだ。Hさんとの邂逅の件はもう何度もここで紹介したので書かない。兎に角Hさんの眼に私が留まったということが普通なら絶対にありえないことのように思う。「私のことを見つけて欲しい」というベクトルと「だれかいい作家を見つけたい」というベクトルがどこかで重なることが時々あるんだな。だから人生は面白い。

 しかし、デパートで企画されるということが一概にチャンスだとは言い切れないところがあることは確かだ。それがどういう意味か分らなければ各地のにあるデパートを覗いてみればいい。デパートに並んだ絵画はどうやってもそれは値段のついた「商品」になる。反対に言えば商品でないものはデパートの画廊には並ばないということだ。だから並んでいる作品はすべて商品の顔つきをしている。「小きれい、細かく、分りやすい」これがデパートの絵の必須条件である。私の作品は言ってみれば真反対の顔つきをしているわけで、どうも居心地が悪い。それでもいいとデパート側と交渉してくれたHさんには頭が上がらない。

 芸術作品は現世では受け入れられないものだという前提で話が進む。だから今受け入れられるものは芸術的には価値が低くて、反対に売れないほうが価値があるんだということになる。確かに歴史的にみて多くの芸術作品は生前は売れなかったものも多く、没後何年もたって評価されて売買されるケースが多い。だからといって売れないということが芸術的に優れているという証明にはならない。ほとんどの場合ただ単に価値がないだけだろう。

 私の作品が芸術作品かどうかそんなものは知らない。芸術をやっているという意識もない。芸術家だとも思っていない。私の絵で世の中に問題提起するとも思っていないし、分らないから分るから意識が低いとも高いとも思っていない。ようするに絵で世の中が変るとも思っていないし、大したものであるはずがないと思っている。

 私の描いたものは作品でもない。出来るだけ個人的な匂いを消したい。路傍の石のように極普通にそこにあるものになれたらいいと思っている。 ある種の「お守り」とか「護符」とか「シンボル」とか「御神体」とかもっと分りやすく言えば、誰もが持っている自分そのもの、変らないもの、人間そのものを描いているつもりだ。だから何年経っても変らないし、誰にでも受け入れられるもののように思うんだけどなぁ。どうだろう。

 続く・・かな。


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