「セザンヌ3」
①は正面から見たセザンヌ「キューピッドのある静物」普通に見ていても明らかにおかしいところに気がつく。机の左端のラインが大きく弓うってカーブしているのがわかる。もしこんな机が実際にあったならとんでもない不良品ということにあるだろう。
今回吉田秀和の「セザンヌ物語」を読んでいてちょっと気がついたのだが、例えばこの絵を②のように左端から斜めに見ると手前の机のラインは正しいことに気がつく。で引き続きき見る方向を③から④と次第に右端から斜めにみるようにしてみると、机のラインはそれぞれに正しい位置にあることがわかる。
ということは、セザンヌは描くときにこのキューピッドど中心にしてぐるりと一周して描いたということだ。一つの絵の中に複数の視点を持ち込んだ。ある意味で平面に時空を持ち込んだということができるな。セザンヌという作家がどうしてこれほどまでに気になる作家なのか、最近になってやっと気がついたところだ。