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あそびべのHARU・ここだけの日々
画家・榎並和春

奇跡のリンゴ - 2009.02.05(ポケットの窓から)




 

はる 2788

 個展の後片付けがやっと一段落した。ここからは春先まで団体展のお祭りモードになります。個展だけを発表の場にしている人には信じられないかもしれませんが、この活動が一年の三分の一を占めているのです。押し詰まってくると一週間以上泊まりこみになります。しかもすべて手弁当のボランティアです。



 話題を変えて

 「奇跡のリンゴ」というリンゴ農家の話を読んだ。NHKの「プロフェッショナル」でやったそうだから観た人も多いかもしれない。私はまったく知らなかった。



 まぁ今はやりの無農薬ものだろうとあまり関心もなかったのだが、家人が薦めるので暇つぶしに読み始めた。無農薬の自然農法といえばわれわれの世代では先駆的な福岡さんが有名だけれど、まぁ理想的ではあるけれど現実的ではないという印象だな。



 読み進むうちに夢中になって一気によんでしまったんだけれど、まぁすこしテレビ的な演出が入っているのかなとも思うのだけど、結構、感動的だった。



 最近の食の安全という点から無農薬の野菜だとか食材の話はよく聞く。自給自足でもない限り必ず食料はどこかから手に入れなければならないわけで、ごく最近までどこで作ったものかなどということは問われることはなかった。ダイエーが全国的に台頭してきたのもとにかく安いということが売りだったわけだから、産地はどこでもよかったわけだ。



 ところがまぁ最近の流れを見ていると安いということより誰が作ったかとか、どこでつくったかといった、生産者の存在が注目されるようになってきた。それというのも環境ホルモンや農薬汚染のこともそうだけれど、食というものが工業と同じように生産品として作られたり売られたりすることの不安からきているように思う。



 昨年の殺虫剤入りの餃子などというのは例外的なことで、そんなことだけに注目すると本質を見失う。



 基本的に食は人間というのか生物のもっとも根幹にあることで、そのことをいいかげんにして人は存在できないということだ。食というのは農業のことなんだな。けっしてあそこがうまいここがおいしいというグルメのはなしではない。



 無農薬農業といえば理想のように聞こえる。自然農法ができるならだれでもそれに従うだろう。けれどそんなに生易しいものではない。考えてみればわかることだが、農業そのものが自然なものではない。同じ作物だけが単一に生育するという環境は自然にはないわけだ。そこにすでに無理があるわけで、そもそもそうやって不自然な環境を作ったがために、それを制御する農薬が必要になってくる。



 無農薬農法というのはそもそも根本からありえないことなんだな。自然じゃない人工的な環境(畑や田んぼ)を作っておいて、何もしないでは敵に裸で戦いを挑むようなものだ。結果は最初からわかっている。



 例えば虫が来たら網をかけるとか手で払うとか手で取るというのは、一見正しい無農薬農法のように見える。じっさいほとんど場合そういった対処を期待する。でもそれは根本的に間違えている。それは農薬の代わりを手や網でやっているに過ぎない。それでは永久に働き続けなくてはならないし、それでも多分病気にやられてしまうだろう。防ぎきれないのだ。なぜならそれは不自然な環境だからだ。



 地産地消の話ととてもよく似ている。日本家屋が高床式で紙と木と土でできているのにはわけがある。その環境で取れたものでつくったものが一番自然なわけだ。格好がいいからという理由で密閉型の小さい窓のカナディアンハウスを作ってもそれは自然じゃない、本物ではない。



 因果応報という必ず原因があってその結果が今の状態をつくっているわけだ。反対にいえば今の中に過去も未来もある。病気になれば薬を使う。虫がくれば殺虫剤を使う。一見正しい選択だけれど、そこだけ見ると見まちがう。病気になったのは、どこかに無理があると教えてくれたものだ。虫が大量に発生したのはそこのところに無理があったからだ。自然のバランス感覚が教えてくれているのだ。



 詳しい内容は読んでもらえばいいのだけれど、結局何かいつも言っていることにつながるんだな。吉田秀和の「永遠の故郷」ではないけれど本当に、こう宇宙の成り立ちみたいなことにもつながるんだけれど、ひとつのもの中に永遠が隠れている。「セザンヌの塗り残し」ともつながる。



 一本の線は、点は、色は必ず全体の中で絶対に必要な場所に必要なだけ存在する。それを感じるのがわれわれの仕事だし、この本を読んでますます確信をもった。

 



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