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あそびべのHARU・ここだけの日々
画家・榎並和春

旅の話 - 2008.06.15(ポケットの窓から)
はる 2554
 昔北海道にスーパーカブで10日ほどかけて行ったことが有る。もう40年も前の話だ。当時イージーライダーが流行っていて、まぁ格好はダサいけれど、それを真似したものだ。集団でツーリングを楽しんだのではなく、一人でとろとろ時速30キロぐらいで流してゆくわけだから、カッコいいアウトローではないわな。

 荷台に寝袋や生活道具を積んで駅の構内や、公園で野宿しながらの旅だったので、何日かすればほとんどホームレス状態になる。今でもそうなのかな、当時は夏休みになるとそうやって一人旅を続ける若者がいて、そういった連中と集まって情報交換するのも楽しかった。

 どこかに風来坊というのか、流れ者というのか、乞食とか漂泊者の生き方に憧れているようなところがあって、そういった意味ではガキの頃からませていたのかもしれん。

 自分の中じゃ「旅」と「旅行」ははっきりと区別していて、期間を決め帰って行く場所があるのが「旅行」で、行き当たりばったりで野垂れ死にするかもしれないのが「旅」だとしていた。実際はまぁ夏休みが終われば学生に戻ってゆくのだけれど、気分的には風来坊であった。

 旭川の駅で野宿していて、朝起きたら財布がポケットから抜き取られていた。幸いな事に幾ばくかのお金は他の場所に入れてあったので、当分生活する分には困らないだろう。警察に行けばお金を借りることも出来たんだろうけれど、それじゃ旅をしている臨場感がない。何処かでアルバイトを探す必要があるのだけれど、田舎じゃむつかしい。で、急きょサッポロまで戻る事にした。

 途中でゴルフ場があったので、飛び込みで事情を話して住み込みで働かせてくれと頼んだけれど、同情はしてくれたけれど雇ってはくれなかった。住所不定のホームレス状態だからむりもない。

 昔から大きな駅では手配しによく声をかけられた。「兄ちゃんええ仕事あんでぇ」「仕事せえへんか」ってね。というわけで札幌の駅あたりでウロウロしていたら、同じような仲間がいて、北大の学生寮のような所を紹介してもらった。ただでは飯は食えなかったけれど、すごく安い値段で飯が食えた。寝床も雑魚寝だったけれど、野宿よりは快適だったな。

 そのうちに仲間が仕事を見つけて来てくれた。住み込みで今で言う派遣の土方だわな。朝一番でどこそこに何人といわれてトラックに乗って出かける。何か売られていく奴隷みたいだなぁ・・。

 場所はどこか良くわからんけれど、札幌からさほど遠い所じゃないところに、バラックが建っていて、年老いたおっさんや私と同じような学生くずれのような兄ちゃんも何人かいた。

 飯は充分食えたし、寝床もフロも毎日あったので、生活環境は抜群に良くなった。まぁ途中で風邪をひいて二日ほど寝込んでしまったけれど、それでも10日ぐらい働いただろうか。いくらの給料をもらったのかおぼえていないけれど、それで兎に角ぎりぎりで北海道から帰ることができたんだな。



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