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あそびべのHARU・ここだけの日々
画家・榎並和春

おい泣かせるな! - 2008.03.25(ポケットの窓から)
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写メ

はる 2475
 Fくんとは高校時代二年の時に一緒になった。当時のS高校は受験校ではあったけれど、私が通っていた中学校でも上位の生徒は私立のN校とか公立のN高校に進学、その二番手クラスの生徒が進学する高校だった。

 だからと言う訳ではないけれど、どことなく負け犬のような虚無感が支配していたように思う。これは我々の高校だけではなく、第一の団塊の世代が通り過ぎた夢の跡のせいだったかもしれない。

 そんな中でも彼はなかなか目立った存在だった。ご多分に漏れず青臭いながらも鼻息荒く討論した記憶がある。何をしゃべったのかはまるでおぼえていないのだけれどね。

 一番おぼえているのはFくんが演出して、高校三年の文化祭で彼と落ちこぼれ数人でオリジナルの演劇をやった事だ。内容は今から考えるとても鑑賞に耐えるものじゃなかったとは思うけれど、タイトルは「カラカラ」と言った。自分たちの今の生活が「から」というのと、飢えてのどが「からから」というのをかけたのだ。

 演劇部の生徒でもない生徒がオリジナルの脚本を書いて、自ら演ずるということで、前評判はなかなかなもんだった。しかし、考えてみれば筋も台詞もいいかげんで、練習もほとんどせず素人が演じて面白いわけが無い。最後は強引に客席と集団ディスカッションようになって舞台を占拠してしまった。これには生徒会の方も慌てて、急きょ部屋を与えられてそこで続きをやるということで収まった。その筋書きを書いたのがFくんだった。

 そんな夢のような時期を過ごして、彼は大学では建設土木の方にいったらしい。らしいというのはその後まったく交信が途絶えてしまった。なぜなら私はわたしで深く地下に潜ってしまったからだ。

 それが今年、ほぼ40年ぶりに松屋での個展で再会した。現在彼は何人かを雇って土建やをやっているということだった。顔を見れば分かる。それは簡単な成功話ではないことぐらい。それでも悲惨さはまるでなかった。淡々と嬉しそうに話してくれた。

 ゆっくりじっくり一つずつ丁寧に絵を見始めた。長年の勘で、絵の見方をみれば、その人がどのくらい絵に興味をもっているのか、楽しんでいるのかが分かる。これはもう隠しようがない。絵を見ることは自分の人生を見ることだからだ。半端な人生ではなかったはずだ。

 バブルで勤めていた会社が倒産、自分の会社を立ち上げて丸10年。記念にかみさんがご褒美をくれたのでと、照れながら会社用と自宅用にと二枚絵を買ってくれた。

 おい泣かせるな!



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