
闘病記6・「いつもの春」
はる 1389
随分と春らしくなった。近くの公園の桜が満開だ。なんだろうねぇ、今を盛りに咲きほこっている桜を見ていると、これもまた尋常な気持ちでいられなくなる。一種の動物的な勘なんだろうか、儚い今を共に過ごさずにはいられないそんな気にさせられる。
中学生になった頃、最初の美術の授業が風景スケッチだった。なぜそんなことを覚えているかといえば、その頃に描いた学校の裏門からはいったところに咲いていた桜の絵が、薄くなったスケッチブックに残っていたからだ。
当時作家の名前もよく知らなかったのだけれど、すぐ上の兄貴の影響で、絵といえばゴッホとユトリロだと思っていた。(ちなみに日本人の絵描きで知っていたのは地元神戸の小磯良平だけだったな)
でその絵の話に戻ると、桜はゴッホのようにチューブから直接絵の具を出したように盛り上げて描いた。で、それだけだと寂しいので、ユトリロのように点景人物を入れた。我ながら上手くいったとおもったけれど、先生の評価はかんばしくなかったな。
今日は夜桜でも観にいくか。