はる 4916
冬になってバリバリに凍った霜柱をザクザクと踏みしめながら、白い息をはいて川沿いを早足で歩くのは嫌いではない。何だか生きているんだなと感じられるからだ。
そんな時でも完全には晴れなくて、どこか心の片隅にいつも暗いもやがかかっている。どうしても払拭されないものがある。これが一時の夢であったらなぁと・・。
「国破れて山河あり・・」そんな時にいつも聞こえる、昔の人の雄大な歌だ。どんなことがあっても、たとえ天下国家が転覆しても、故郷の山や川は変わらずに私を慰めてくれるという歌だ解釈している。我々はそれさえも期待できない、そんな大きな過ちを犯してしまった。
なぜそのことが分からないのだろう。どうして汚してしまったものをあえて全国にばらまくのだろう。飛び散ってしまったものはどうしようもないのに、それを隠してなかったことのように、影響がないかのように宣伝するのだろう。国は国民を捨てた。国土を捨てた。
今のお金が欲しいがために、権力にすり寄って助成金やら補助金などというその場しのぎのお金にむらがるのだろう。実質的な力強い物づくりで経済をけん引するのでなく、マネーゲームのようなまやかしの経済によって一時の好景気を演出しているだけだというのがどうしてわからないのだろう。音を立てて船が沈み始めているのに、だれも本質的な解決策を講じない。
田舎に住む、年取った世捨て人でさえこんな風に思うのに、頭のいい選ばれた人たちはそうは感じないのだろうか。